
奇跡の出会い
数年前まで飼い主・沙織(さおり)のそばにいたセキセイインコの「ピピ」。青と白の羽が美しく、人懐っこい性格で家族の中心だった。
ある日、ふとした拍子に窓から飛び出してしまい、そのまま帰ってこなかった。何度も何度も近所を探したが、見つからないまま季節が過ぎていった。
それからというもの、沙織の心にはピピのことばかりが残り、時折ふとした瞬間に涙がこぼれる日々だった。
ペットショップでの衝撃
3年後のある休日、沙織は友人との待ち合わせまでの時間つぶしに、何気なくペットショップに立ち寄った。
そこで出会ったのが、一羽のセキセイインコの雛だった。黄色と水色の混ざった羽、つぶらな瞳、そして……。
その子が、じっと沙織を見つめた瞬間、心に「ズバーン!」と何かが走った。
「あ……ピピ……?」
その名を口にした瞬間、インコは「ピッ!」と鳴いて羽を震わせた。
再び始まるふたりの生活
沙織はその子を迷うことなく迎えた。「また名前はピピでいいよね」そう言って、小さな命を手のひらにのせた。
そして始まった、懐かしくも新しい日々。
生まれ変わりを感じた“あるある”エピソード
- お気に入りの鈴:昔ピピが気に入っていた鈴のおもちゃ。新しいピピもそれにだけ興味を示し、毎日チリチリと鳴らして遊ぶ。
- 朝の挨拶:毎朝「おはよう」と言うと「ピピ!」と返してくるのは以前とまったく同じ。
- ティッシュ帽子:昔からの謎の遊び、ティッシュを頭に乗せてドヤ顔。今回も初日から始まった。
- 名前の反応:「ピピ」と呼ぶと他の名前では反応しないのに、振り向いてくる。まるで覚えていたかのように。
- 眠る位置:肩の上、それも沙織の左肩にしか乗ってこない。これは昔ピピが安心していた位置と同じ。
奇跡は信じた心に訪れる
沙織はもう確信していた。この子は、あの時のピピが生まれ変わった姿。
過去の別れも、寂しさも、この再会のためだったんだと、心から思えるようになった。
「ピピ、帰ってきてくれてありがとう」
その言葉に、新しいピピは「ピッピ!」と高く鳴いて、空を仰いだ。